今日のつぶやき




     還る場所を求め
     目の前に差し出された手にしがみついた。
     下心にまみれた手を優しい手と思い込み
     迷わずに握り返した。

     離れた時間は空を見上げ
     傍らに佇む時は地面を見つめ
     大きな光をこの手に掴んだと思い込んだ。

     気まぐれと共に訪れる風は予想よりも冷たく
     そしてあっさりと季節の終わりを告げて去る。

     そこに心が存在したかは
     誰にも解らない。
     


     新しい『友』が出来た。
     決して深く関わろうとしない私に彼女は土足で踏み込んできた。
     何も知らないような顔をしながら、全てお見通し。
     大きな決断を下した彼女は大粒の涙をこぼしながら言った。

     「たくさんいる人の中で、せっかく出会って、知りあって、
     末永く、笑ったり、泣いたり、喧嘩したり、頼ったり頼られたり、
     一緒にいこうぜ!」

     世の中は捨てたもんじゃない。
     


     葛藤の中に見出した自分の在り方は
     きっと誰が言うよりも考えるよりも
     一番の正解。

     「女である前に人間でありたい」

     共に『今』を戦ってきた戦友として
     言葉もなく慰め合える仲間として
     ただそこにいるだけで癒される光として。

     


     何日も何か月も音信不通だった彼女から
     いつも突然届くメール。

     「おらはいつでもここにいる。共にダダ漏れしようぜ!」

     肝心な所で自分の意思とは関係なく
     余計な一言を吐きそして後悔する。
     それによって招く被害は予想外に大きく
     二人は遠く離れた場所で共に嘆く。
     だが次の瞬間、二人は同時に叫ぶ。

     「これが自分だ!とことん愛してやろうじゃねーか!」

     音信不通だった彼女と共に酒を酌み交わし
     背中を叩き合って大笑いする。
     男と女の交わりの中に垣間見える
     人間と人間のぶつかり合い。
     どんなに愛していてもふと人間に返る瞬間がある。

     たぶん二人は一生変わらない。
     いや、一生手離すまい。
     


     どんなに頑張っても
     どんなにもがいても
     どんなに歯を食いしばっても
     到達出来ない壁がある。
     到達出来ないのだから
     その壁を登ることすら出来ない。
     たった今、人生の幕を降ろそうと決めた彼女の
     心理に想いを馳せる時
     自らの命運も尽きるであろう。
     失うものはもう何もない。
     いなくなって消えるのは
     人々の記憶だから。
     


     さぁ、前を向こうぜ。
     くだらないしがらみは、さっさとぶった切ってさ。
     身体なんて壊してる暇は、私にはねぇ。
     やることが多すぎてさ。
     
     さぁ、前を向こうぜ。
     それでも生きてんだから、しょーがねーじゃん。
     


     もう、何も考えたくない。
     もう、何も言いたくない。
     もう、何も食べたくない。
     
     もう、誰も信じたくない。
     


     今日が終わればまた過酷な毎日が待っている。
     私には心安らぐ場所がない。
     職場も自宅も、そして車の中でさえも。
     それを見出す、心の余裕さえないのかもしれない。
     


     時は繰り返す。
     同じ涙を流す。
     そして全てが何もなかったかのように終わりも告げず
     に消えてゆく。
     


     君にエールを…
     
     今日、たった一人の親友が巣立っていった。
     真っ白なウェディングドレスに身を包み、見も知らぬ新郎に手を引かれて。
     そこには、まだ見たこともない彼女がいた。
     私の知らない所で、私の知らない道を歩き、
     そして私の知らない世界を生きてゆく。
     そこはとてつもなく遠くて、とうてい私には入り込めない世界。
     
     助けあって生きてきた絆は、はたしてそこにあるのだろうか。
     共存し、無言のエールを送り続けた私の影は見えているのだろうか。
     
     この8年間、彼女も同じように感じていたに違いない。
     そして今になって初めて、互いを認めあえるのだろう・・・。
     同じ土俵に立つことで。


     心の内をさらけ出すことを禁じられて育った私は、
     意思を表現する術を知らない。
     全てを飲み込み、あるがままを受け入れ、
     まるでそれが当たり前のように
     あっさりとしがらみを切り捨てることが出来る。
     本当の孤独に耐え抜いた10年間は、
     それは素晴らしい体験だったに違いない。
     
     望みなんてない。
     望む権利なんてない。
     流れ流れてただ行き着く先を、
     やっぱりまた、
     ただ無感動に受け入れるんだろうと思う。
     
     自分が「意思」を持つことに罪悪感を感じながらね。


     二つに一つを選べというのなら、
     世の全てを敵にまわしただろう。
     二つに一つを選べというのなら、
     何もかも全てに背を向けただろう。
     関わることに怯え、想いを告げることに恐れをなし、
     意思を表現することなく、そして自我もない。
     あるがままを生き、そして反発する。
     自分が特別だなんて思ってない。
     それが例え他人と違った人生であったとしても、
     それが自らの「あるがまま」の姿なのだと…。


     どんなに腐れた生い立ちも、
     いつかは優しい過去になる。
     過去を忘れる必要なんてない。
     ただ、それを一生背負って生きてゆくだけだ。


     弱き心を封じ込め気丈な自らは颯爽と君臨する。
     それは鎧でもあり、護身の術でもある。
     そうして生きてきた証は決して消えることはない。
     これからも変わることのない自らの境遇を
     甘んじて受け入れるしかない。


     無は何かを生み出す。
     無は全てを破壊する。
     決して超えてはいけない境界線のその先には、
     とてつもなく素晴らしい世界が存在する。


     嘘をついた自分を罰しようと嘘をつき、
     その罪から逃れようと罪を犯す。
     存続が罪ならば、いったいどうすればいいのだろう。


     はるか遠くに見える灯りをタバコの煙にむせびながら
     じっと見つめる。
     吉と出るか凶と出るか。
     石橋を叩きまくって半生を過ごした自分には、
     とてつもなく大きな賭けに見える。


     誰かに助けて貰おうなんて思ってない。
     誰かについていこうなんて思ってない。
     ただ、前を向いて歩いてゆける足が欲しい。
     ただ、決断出来る勇気が欲しい。


     「私は一人ぼっちじゃないんだ」
     そう心から思える日が、いつかやってくるのだろうか。
     本当の孤独を知る者は、
     寂しいという感情を忘れてしまうのだろうか。


     お願いだから、上を見ないで。
     期待を裏切られるのが怖いから。
     お願いだから、下を見ないで。
     まだ夢を壊したくないから。


     情熱を傾けるものの存在しない日々の中で、
     平凡を慈しみありきたりな時間を共有する。
     それは退屈でもあり幸せでもある。
     一度傾いた人間の心情を軌道修正するのは
     意外に難しい。


     ある人へ。
     志一つその胸に抱きて突き進むその先には、
     理解されずともおのずと同士はついてくる。
     己を悔やんで他人を恨むな・・・ではなく、
     他人を捨てて己を信じよ。


     今どん底にいる幸せをかみ締めながら、
     今日も一 歩前に進む。
     それでも生きなきゃならないのなら、
     何も泣きながら止まっていることもない。
     無の境地は諦めを生むのではない。


     ガラス窓から見える灯りが、
     ひとつまたひとつと消えていく度に
     物悲しさを感じる今日この頃。
     しかし、この部屋の灯りが消えてもなお
     消えない灯りもあるんだってこと、
     忘れてはならない。


     喧騒はやがて終わりを迎えそして訪れる静寂の中で、
     ひざを抱えて怯える自分がそこにいる。
     変え難い宝を胸に抱きて突き進むその先には、
     いつも幸福が待つとは限らない。


     “ 絶対無理 ”
     ただ自分に言い聞かせてるだけ。
     そう思ってるわけじゃない。


     ささやかな幸せは柔らかな光を放ち、
     凍えたこの身をそっと温めるだろう。
     だがそれは壊れやすく、ともすると掌を滑り落ち、
     やがて光を失うだろう。
     感情を忘れた抜け殻のように・・・。


     この空の向こうに逢いたい人がいる。
     この空の向こうにいつも見守っててくれる人がいる。
     もがき苦しむ私を傍らでそっと慰めてくれる。
     この世でたった一人の、私のヒーロー。


     約束なんて始めからしなければいい。
     裏切られることも失望することもない。
     そう心に誓った私の中に宿る、たった一つの約束。
     それは一生果たすことの出来ない約束・・・。


     絶えず潜むその闇は、夜な夜な顔を出す。
     もがき苦しむ自分を遠くで見ながら、目を覚ますのだ。
     もう何年も、熟睡していない。
     それは終わりの見えない、長い迷路・・・。


     親友のメールにはいつもSOSが隠されている。
     「私は黙って傍観してるよ。冷たい女だからね」
     その返事一つで全てを理解する彼女は
     並みの女ではない。
     そんな関係も、早15年。
     その絆は今なお健在である。


     泪にくれたあの夜を思い出すは一夜の憂鬱。
     淡い光は石と化しこの世の希望を打ち砕く。
     我に光を・・・と差し伸べた手は空を切り
     永遠に聞き届けられることはない。
     そして無情にも朝はやって来るのだ。


     我先にと群がるその1本のくもの糸をじっと見つめる私がいる。
     あの先に希望があると思える人間だけが
     幸せを掴むことが出来る。
     私には、ない。


     パンドラの箱。
     この世に生まれいでし希望の光は、
     周囲にささやかな幸をもたらす。
     まだ何も知らぬ希望の光は、
     心広き支えと暖かな温もりの中で、
     さまざまなものを見出すことだろう。
     だがその支えも温もりも、やがては尽きるであろう。
     その小さな眼差しに灯る頑なな意思。
     母はこれ以上何も望まぬ。
     ただ己の全てを背負いし意思の力と、
     その重みに耐え抜く覚悟は、決して忘れないで欲しい・・・。


     ふと見上げれば、窓の灯り。
     深夜の静けさの中に生活の香り。
     午前2時。
     何を求めて、皆前に進むのか。
     命ある限り・・・。


     なぁ、親父。教えてくれよ。
     2本の足できっちり地に立てたら、
     貴方の娘は自らの過ちの責任を
     取ることが出来るのか。
     貴方の作品は未完成なまま、
     身動きも取れずにいる。
     幸せを幸せと思える明日を
     枕を濡らして夢みる今日を。
     朝が来るたびに思う。
     私は生きている。
     そう、今日も・・・。


     私は操り人形なんかじゃない。
     いつか本気でそう思える日が訪れたら
     前に進むことが出来るのだろうか。
     殺して。
     小さな箱の中でただうずくまる私を
     冷ややかな目で見据える自分を・・・。


     最後に見たものはいったいなんだったのだろう。
     地獄の果てはそれほど悪くない。
     彷徨って、彷徨って、やっとたどり着くその先には
     彼の残した生き様がある。
     19回目の誕生日。
     それは何も解らぬ自らの、天国と地獄の分け目だった。
     今想う。
     きっと敷かれたレールの上には意味があるのだと・・・。